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恒大崩壊後の中国不動産大激震!市場復活のカギとは?【feat. 恒大, 不動産バブル, 経済危機, 政策転換, 中国経済】

「8月25日、恒大グループの上場廃止が決定!? それって一体どういうこと?」

中国の不動産市場は崩壊寸前?それとも、新たなチャンスが隠れているのか?恒大の破綻が引き起こす波紋は、ただの経済の話ではありません。政府の手のひらの上で踊るのは、私たちの未来そのものかもしれません。詳しく見てみましょう。

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無料住宅配分の始まり

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  1. 1949年以降、中国は都市の労働者に対して住宅を無料で提供していました。
  2. ただし、無料でもらえたわけではありません。
  3. 国家や組織単位で建てられた住宅を、従業員が無料で使うシステムでした。
  4. 独身者にはワンルーム、家族持ちには2LDKなど、個々の事情に合わせて住宅が割り当てられました。
  5. 住宅は国家や組織の所有で、従業員は仕事中のみその住宅を使う権利をもらう形でした。
  6. 当時の住宅はまるで社員寮のようなものでした。
  7. 無料の住宅はありがたいことですが、品質は低く、供給も足りず、文句が増えていきました。

住宅改革と市場の変化

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  1. 1998年、江沢民政府は「住宅は市場で売買されるべきだ。無料配分制度は廃止する」という改革を発表しました。
  2. 国営企業の負担を減らし、個人の住宅所有意欲を刺激して、建設業を新たな成長エンジンにしようとしたのです。
  3. その頃の中国は本格的な成長を開始し、中産階級が急増していました。
  4. 自分の家を持ちたい中産階級の人々、住宅所有を促す政府の政策、そして銀行ローンの取得が容易になったことが重なりました。
  5. 地方政府が土地を売却して財政収入を確保しようとし始めたのも一因です。
  6. 政府が個人に住宅所有を許可しましたが、土地と建物の所有権は完全には個人に移らなかったのです。
  7. 土地は引き続き国の所有のままで、100年間の土地使用権と建物の所有権が個人に与えられる形でした。
  8. 地方政府は土地使用権を販売して、大きな利益を得始めました。
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恒大(ヘンダ)の急成長と市場への影響

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  1. 1998年の改革初期、民間が建てる住宅は高級でしたが、価格が高すぎるという問題がありました。
  2. 地方から上京して不動産会社で働いていた徐家瑩(シュ・ジャイン)がそのチャンスを見逃しませんでした。
  3. 彼は「恒大」(ヘンダ)という会社を立ち上げ、中産階級でも手が届く安価なアパートの建設を始めました。
  4. 恒大の最初のプロジェクトは、古い工場跡地にアパートを建てることでした。
  5. 徐家瑩は工事資金がまったくなかったものの、工事を開始することができました。
  6. 銀行からのローンを利用し、地方政府から土地使用権だけを購入し、工事開始と同時に販売を始めました。
  7. 恒大は、中国式の不動産開発企業として新しい形態を生み出しました。
  8. 韓国とは異なり、中国では開発業者と建設業者が一体となった不動産企業が登場しました。
  9. 恒大の安価なアパートは、中国の中産階級のニーズに完璧に応えました。
  10. 恒大の最初の不動産プロジェクトは、販売初日に100%完売し、大成功を収めました。
  11. しかし、恒大は販売初日に得た契約金をアパートの建設には使わなかったのです。
  12. 恒大は13の不動産プロジェクトを同時に進行させ、さらに成長していきました。
  13. これらのプロジェクトで得た資金を次々に新たなプロジェクトに回し、恒大は急速に成長し続けました。
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恒大の破綻とその背景

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  1. 2018年まで、恒大は急成長を続け、世界最大の不動産会社となりました。
  2. 恒大の創業者である徐家瑩は、個人資産が50兆円を超える中国一の大富豪となりました。
  3. 恒大の問題の一つは、政治派閥に対して巨額の政治献金を提供し続けたことにあります。
  4. しかし、共青団や上海閥に代わって、習近平が政権を握ったことで事態が一変しました。
  5. 習近平の視点では、恒大は腐敗した政治派閥に不正な政治資金を提供する集団だったのです。
  6. これを受けて、恒大に対する不動産規制と行政処分が開始されました。
  7. 不動産企業に対する規制は「三つのレッドライン」から始まりました。
  8. これらのレッドラインとは、1) 借入比率70%以上、2) 純借入比率100%以上、3) 短期借入金が資本金を超える企業への新規ローン禁止と既存ローン回収の措置でした。
  9. 恒大はそのすべてのレッドラインに引っかかってしまいました。
  10. それにより、恒大に融資していた銀行は、返済期限が来ると、ローンの延長を認めず、回収を始めました。
  11. また、金融機関だけでなく、地方政府も動員され、行政処分が本格化しました。
  12. 2021年12月、海南島の人工島で恒大が建設していたアパート39棟に対して、取り壊し命令が出されました。
  13. 完成間近の2,700世帯、販売価格1.5兆円のアパート39棟が都市計画法を違反しているとして、10日以内に取り壊しを命じられました。
  14. 恒大は、契約者に販売代金を返金するか、他のアパートを提供することになり、1.5兆円の損失を被りました。
  15. その後、恒大が契約者問題を解決した後、取り壊し命令は撤回され、39棟全てが没収されました。
  16. 最終的に、契約者には販売代金が返金され、アパートは地方政府の所有となり、恒大に完成を指示されました。
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恒大の破綻とその影響

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  1. 恒大は1.5兆元規模の2,700世帯分のアパートを、1円も受け取らずに地方政府に没収されました。
  2. 恒大はお金がない企業ではなかったものの、金融機関がローン延長を許可せず、政府の圧力が続いたため、耐えられなくなりました。
  3. 恒大の問題は解決したように見えましたが、その影響は恒大だけでなく、他の不動産企業にも波及しました。
  4. 「三つのレッドライン」は他の不動産企業にも適用され、運転資金が枯渇し始めました。
  5. その結果、中国の不動産企業の運転資金は次第に減少し、2022年にはマイナスに転じました。
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不動産市場の不況と影響

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  1. 恒大は多くの財産を持っていると言われていますが、実際に所有しているのは政府所有の土地に建てられた建物だけです。
  2. 恒大の借金のほとんどは、国営銀行からの借入金です。
  3. 恒大が破綻すれば、中国の国営銀行がほとんどの損失を背負うことになります。地方政府は未完成の建物だけが残ることになるのです。
  4. 中国経済はこれまで、中央政府が資金を供給し、高速鉄道や道路などのインフラを作り、地方政府が不動産開発を進める形で支えられてきました。
  5. 地方政府は、中央政府から与えられる経済成長率目標を達成するため、最も手っ取り早い方法として不動産開発に力を入れてきました。
  6. これが地方政府間での競争を引き起こしました。
  7. 税制政策において、土地に対する税金がないことが相まって、供給過剰を引き起こす要因となり、不動産バブルが生まれました。
  8. しかし、過剰供給の中で競争派閥をサポートする不動産企業を取り締まるために規制が強化され、業界は急速に冷え込み始めました。
  9. 不動産企業に運転資金が不足するということは、新規事業が難しくなるだけでなく、経済全体に大きな影響を与えることになるのです。
  10. 中国のアパート販売契約は、契約金、中間金、残金という段階で進んでいきますが、この構造は韓国とは異なります。
  11. つまり、建設中の途中金段階で残金が支払われるのです。
  12. ローンが止まった不動産企業は、販売契約者が支払った販売代金で不足している流動性を補ってきましたが、限界に達したのです。
  13. 200万世帯、400兆円に上る建設費用が不足しているため、政府からの資金支援が必要になってきました。
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政府の対応と再建策

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  1. 不動産業界に問題が生じる中、地方政府の財政にも大きな問題が浮上しました。
  2. 中国地方政府の財政収入の46%が、民間の不動産企業から土地使用権を売却して得たものです。
  3. 新たなアパートの分譲が減少すると、土地使用権の売却収入も入らなくなります。
  4. ゼロコロナ政策の影響で地方政府の財政収入が減少し、地方政府の借金が急増しました。
  5. ゼロコロナ時代のPCR検査費用や感染症対策の費用は、すべて地方政府の財政から支出されていたのです。
  6. ゼロコロナ政策を解除したのは、民衆の不満を抑えるためでもあり、地方政府の財政的な限界に達したからでもあります。
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経済政策の転換とその影響

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  1. 中国の経済成長は、これまで地方政府のインフラ投資が大きな役割を果たしてきました。
  2. しかし、財政圧力により地方政府はインフラ投資の規模を維持するのが難しくなり、ゼロコロナ政策を解除しても経済成長は鈍化してしまいました。
  3. 中国共産党の戦術に「空間を与え、時間を稼ぐ」というものがあります。
  4. すぐに解決できない問題も、時間をかけることで解決する場合があるという戦術です。
  5. 中国政府は、不動産企業の破綻をできるだけ遅らせれば、経済が回復し、不動産市場も復活すると期待していました。
  6. しかし、遅延戦術にも限界があることが明らかになりました。
  7. 恒大は2年間で146兆円の累積赤字を記録し、最近までその赤字規模は拡大し続けていました。
  8. 2025年8月25日、恒大の上場廃止が決定しました。
  9. 次のシナリオは、不動産企業の国有化です。
  10. 恒大、万達、カントリーガーデンなど、中国の巨大不動産企業はすべて似たような最悪の状態に陥っています。
  11. これらの企業を国有化し、政府の資金を投入して市場を回復させようとする動きがあります。
  12. 政府資金の投入を名目に、民間企業を国有化し、オーナーの財産を献納させて世論をなだめる狙いがあるのです。
  13. 不動産市場を回復させるためには、金利を下げ、流動性を高め、税制優遇を与えることが必要です。
  14. しかし、これでも中国の経済が直ちに回復するかは不確実な状況です。
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インフレ対策と人民元の動向

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  1. 中国はインフレよりも物価の停滞や下落を心配するべき状況にあります。
  2. 中国のCPI(消費者物価指数)はゼロからマイナスの範囲を推移しています。
  3. したがって、インフレ対策よりもデフレ対策が重要であり、金利を引き下げ、流動性を供給しつつ経済回復を目指しています。
  4. 金利を下げ、資金を放出することで、人民元は安くなります。
  5. つまり、人民元は弱くなり、安価になるということです。
  6. これにより、人民元の為替レートが下がると、日本円も影響を受けて、同じように弱含みになります。
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壊すのは一瞬、再建には何年かかる?

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壊すのは一瞬。再建するには、気が遠くなるほどの時間がかかる。中国の不動産市場がその典型だ。今、中国政府は必死に不動産市場を復活させようとしているが、その効果が出るまでにはかなりの時間が必要だと誰もがわかっている。
その間、政府は株式市場を活性化させて「お、やるじゃん!」と思わせようとしている。でも、企業が政治に手を出すのは、ちょっとしたギャンブルだ。短期的にはハッピーかもしれないが、長期的にはそのツケが回ってくるのが常だ。「短期の成功だけで満足して、長期的なリスクを無視する?」って、そんな話はどこかで聞いたことがある。
結局、政治に関わる企業は後で大きな代償を払う羽目になる。中国のような巨大市場では、ちょっとした波乱でも全体を揺るがすから、賢明な判断が一番大事だ。
要するに、何かを壊すのは簡単だけど、それを元通りにするのは、何倍も時間がかかる。まさに、中国の不動産市場がその証拠だ。

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